「品格」を表現することが
Admiralのデザインコンセプト
創業は1914年。当初は英国海軍にスポーツウェアを納入する会社としてスタートしたAdmiralは、やがてサッカーウェアの製造を始め、瞬く間に世界的なブランドとなった。サッカーの母国であるイングランドの代表のほか、名だたる強豪クラブのユニフォームを手掛けてきたその実績は、今なお色あせることがない。
Admiralのアイテムには、独特の印象がある。海軍のサプライヤーであった歴史を象徴する、軍服の袖章を模したエンブレム。伝統と威厳を感じさせる、無駄を排したシンプルなデザイン。クラシカルなスタイルをベースに、最適なアレンジを加える手法。いくつもの要素が重なって醸し出すAdmiralならではのイメージをあえて言葉にするのなら、それは「品格」ではないだろうか。
現代に受け継がれるAdmiral
トレンドを包括したデザインとは
Admiralサッカーウェアの担当デザイナーは、受け継がれてきた「品格」を意識しながら、それを現代に再現することを重視しているという。そして、素材を選び、型紙を引いていく作業、すべて担当する。新たなアイテムを生み出す際、トレンドを意識しながらも、安易に迎合することはない。Admiralとはどんなブランドであるべきかという基準を改めて自身の中で確立したうえで、必要な要素を検討していく。デザイナーは言う。
「切り返しのラインひとつをとっても、最近は曲線を織り交ぜた斬新なものが増えている中、Admiralは直線的なラインにこだわっています。派手さはありませんが、Admiralらしい古き良き無骨さを大切にしたいと思っています。一方で、トレンドのカラーを取り込んだりして、時代に寄り添う部分も意識しています」
過去のアーカイブを参考にしつつ、現代的な解釈を加えたシルエットを見出したり、さりげなくユニオンジャックカラーを取り入れたりと、独自の手法でAdmiralならではの世界観を演出する。
それが新たな伝統を築くという使命を帯びた、デザイナーの流儀だ。
機能面、着心地の良さも徹底追及
基本線になるのは「プロ仕様」であること
歴史に裏打ちされた伝統的なデザインを取り入れながらも、最新鋭の素材を採用して機能性を高めることも忘れてはいない。あくまで「プロのプレーヤーが着用しても何の問題もないクオリティ」という思想が根底にある。
「素材については、国内の優秀な工場に厚さから軽さ、伸縮性にいたるまで細かくオーダーして、最良のものを作ってもらっています。2022年からはJリーグに所属するジュビロ磐田のユニフォームもデザインしていますから、アイテムの開発基準は必然的に高くなります。動きやすさ、耐久性、着心地の良さ。あらゆる面でこだわりを持って製作しています」
伝統を重んじる英国人の気質と、細部にまで徹底してこだわる日本人の執着心。二つの文化の幸福な融合が、現在のAdmiralを支えている。
Admiralの未来像をどう描くか
栄光の伝統を新時代へつなぐ役割を担う
幼いころ、はじめてボールを蹴った日。最初に袖を通したサッカーウェアのブランドははっきりと脳裏に焼き付いているものだ。「これからサッカーを始める子どもたちが、初めて身に着けるブランドとしてAdmiralと出会ってくれる機会が増えたら嬉しく思います」
Admiralの伝統を未来へと伝承していく若きプレーヤーの活躍を思い描きながら、デザイナーはアイテムを生み出していく。
かつてイングランド代表の代名詞であったAdmiralは、新たな歴史を刻み始めた。プロ仕様の機能性と、揺るがぬポリシーを纏ったデザイン性。「Be Strong. Be Stylish」というスローガンのもと、幅広い層のプレーヤーを満足させるラインナップは充実の一途をたどる。サッカーの母国が生んだ「品格」は、日本の地でも着実に受け継がれつつある。